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8 SEP 2019

我々がここから学べること: 日本が世界的スポーツイベントに先駆けて準備すること

スポーツの当たり年ともいえる今年後半、来年に先がけ、様々な施設をレガシー化する日本政府の計画に対しダニエル・コックス氏が声援を送る

来月日本で開幕するラグビーのワールドカップに続き、来年には2020東京オリンピックが催される。既存施設の応用や再利用、そしてスマートで抑制の効いた建設によって生まれる新施設のおかげで、この国が国際スポーツイベントにありがちな「無用の産物シンドローム」に陥る可能性はほぼないのではないか。ラグビーの大会に向け、唯一新たに建設されたのは釜石鵜住居復興スタジアムであり、これは2011年の震災による津波で多大な被害を受けた同地区における復興プロジェクトの一環である。ラグビーの主要イベントは2002年のFIFAワールドカップのために建設されたスタジアムで催されることになっている。そしてまた、東京も夏のオリンピック・パラリンピックを控え、同様に賢明な対策をとっている。

大会に備える

1964年の東京オリンピックでは12ほどの施設が建設された。その多くが未だに様々な用途に利用されている。そして2020年のオリンピックはそれらを復活させるきっかけともなる。外観美を誇る国立代々木競技場は、その斬新な屋根が丹下健三という建築家の名を世界に知らしめることになった。1964年当初は水上競技のために建設されたが、それからはアイスホッケーやバスケットボール競技も開催され、今ではJ-Popのメッカの1つともなっている。そして2020年ではハンドボールの会場となる。こういった施設が建てられた時は、単に必要に迫られていただけであり、東京は急ピッチで拡大、近代化の道を歩んでいた。それら多くの施設がほぼ60年生き延びたのである。馬事公苑は元々東京で開催されるはずだった1940年のオリンピックに向けて作られたが、同オリンピック開催は周知のとおりの理由で幻となった。これは80年前の施設だが、現在もあらゆる馬術競技に利用されている。

スポーツの当たり年ともいえる今年後半、来年に先がけ、様々な施設をレガシー化する日本政府の計画に対しダニエル・コックス氏が声援を送る

数字で見る東京2020オリンピック効果

43 東京2020施設数合計

8 新たな常設施設数

25 再活用施設数

10 新仮設会場

2 オリンピック後に完成する50階以上の超高層ビル数

5,650 オリンピック後に分譲若しくは賃貸される住戸数

Rugby
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ホームの強み

晴海フラッグはオリンピック村の名称となる。ここには17,000名の選手およびチームメンバーが収容されることになり、オリンピック後はマンションとして分譲される。各戸は最大8名の選手が滞在できるよう設計されており、複数のバスルームが設けられているため、2021年の一般分譲の開始に先駆けて改装工事を行わねばならない。しかしながら、この費用は既に土地を東京都から購入した際の土地代に織り込み済みである。このマンションはごく一般向けの住宅であり、都心回帰の傾向が続く中、需要は高くなると思われる。また、晴海フラッグが存在する中央区および隣接する江東区は建築許可の対象となる住宅戸数に制限を設けている。アジア諸国の中所得層にしてみれば、東京は自国市場に比べても安いかもしれない。金利は低く、建築工事の質は自分の国と比べても上であることはあっても決して劣ることはない。こういった理由で晴海フラッグの住居は海外からの需要も高くなる可能性がある。

全ての人に

競技場からちょっと目を離してみると、東京では様々なインフラが「ハード」と「ソフト」の両面から準備されている最中である。首都高の出入口の修繕・強化、駅のバリアフリー化、一般道路における自転車レーンの設置、街の緑化などが挙げられる。また、タクシーの運転手に英語を習得してもらおうという大きな動きや、タイ語、中国語、マレー語の表記を設けるなどの対策も進んでいる。背景には政府が掲げた外国人観光客数の増加の成功があり、90年代後半に年間400万人であった観光客は2018年には3,100万人にまで増加している。東京を実際に訪れる多くの観光客に加え、ストリーミングやテレビを通して東京が大勢の目に触れることは都にとってプラスである。公共交通機関が高機能していること、街が緑で溢れていること、食や歴史、街の安全性、洗練された様子等は好印象を与えるに違いない。そして、その街にとって良いということは不動産業界にとっても良いことなのである。

ダニエル・コックス氏はグロブナージャパンのマネージングディレクター、駐日代表である。

This article originally appeared in Modus Asia-Pacific edition, Q3 2019, under the headline 'Japan’s pre-Games build up'